想いと願いを届けるらくがん~後編~
インタビュー
2021/10/13

家族の愛に溢れている「楽心堂本舗」。
だが、ただの家族経営のお店ならばここまで魅力的に感じない。いったい何が魅力的なのだろうか。
知子氏にお話を伺っていくと、仕事や生き方にその魅力の種があるような気がしてきた。
「私たちの仕事は生きていく上で絶対必要な商品を作っているっていうわけではないんです。でもうちの商品を買ってくれたお客様にはとても喜んでいただいています。」
確かに衣食住との関係は薄いように感じるが、日本に古くからある「故人を偲ぶ」という文化と大きく関わっている。
見た目だけのハリボテでなくその中身にたくさんの想いが詰まっているからこそ、その思いがお客様に伝わり喜んでいただけているのだろう、と私は思う。
「自分の道をつき進みながら生き生きとしてる人になりたいですね。例えるなら情熱大陸に出てる職人さんみたいな。」
お話を伺っただけでも、知子氏はこのらくがん職人という仕事に対して誇りと情熱をもって取り組んでいることが分かる。
会社を大きくすることも大事だが、ただ販路を広げるだけではらくがんという商品の価値も下がってしまう。
「楽心堂本舗」では自社製造にこだわりできる限り手作業でらくがんを作っている。「楽心堂本舗」の主な商品である筒状のらくがんだが、とても色彩豊かで仏壇に飾ると雰囲気が明るくなったように感じる。

「どこもそうですけど、お客様あっての商売。そこを蔑ろにしてたら良いものはできないし働いていても楽しくない。」
ただ作業的に働くのではなく、仕事を通して誰かの人生に関わる。そういった気持ちで働くことで仕事のやり甲斐が出てくるのかもしれない。
「楽心堂本舗」は販路拡大などにたいして慎重だが、決して消極的というわけではない。むしろ今後の展開をどうするか積極的に考えている。
知子氏曰く、
「言ってしまえばこの業界はブルーオーシャンなんですよね。可能性はたくさんあります。」
今後はらくがん市場のシェア率5%を目指すそうだ。お母様から受け継いだものを守りながら未来に繋いでいくために何をすべきか、日々試行錯誤の繰り返しだ。大変ではあるだろうが、知子氏の瞳は輝いているように見えた。
コロナウイルスによる打撃も多かったそうだが、少しずつ元に戻りつつあるようだ。
いずれ「楽心堂本舗」で、共にらくがん職人として想いを届けれるようになる日が来るかもしれない。
取材:久恒裕司、ライター:N.H
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