”自分の体は自分でケアできるように”その手助けをする『self care salon CARM』

北九州市八幡西区のとある住宅街。黄土のよもぎ蒸しや筋膜アロママッサージ、耳つぼマッサージなどを提供している『self care salon CARM』の嘉村知子さん。人の心や体が元気になることに関しては、とことん追及して知識を深めていく。興味を持ったことに対しては直接足を運んで学んだり、実際に使ってみて体に良いものだけを取り入れたり、と勉強熱心な嘉村さんに、仕事や関わり合う人たちへの想いについて詳しく聞いてみた。
家族の不調をきっかけにリンパや体の構造について知りたい
嘉村さんはどんなきっかけで現在の仕事を始めたのだろうか。
「もともと、母がリンパ浮腫で困っているのを間近で見ていたのと、私自身が子どもの頃から体が弱かったので、強くなりたいという思いがありました。
とはいえ、最初は気軽な気持ちで北九州市主催のリンパの講座に参加したんです。でもそこで出会った先生の、リンパや施術に関して勉強熱心な姿に感銘を受け、私ももっと深く学びたいと思いました。それと同時に、元々興味があったリンパ浮腫のマッサージや経絡リンパマッサージ、東洋医学のおもしろさにどんどん惹かれていった感じです。そしていつかサロンを持って、習得した技術をお客さんに提供したいと考えるようになりました」。
このようにたまたま参加した市の講座が、嘉村さんの「人を癒す」というポテンシャルを引き出すきっかけとなった。
回り道をしたけれど、ひとつひとつが勉強だった

今でこそInstagramやホームページを通じて多くの人に知られ、知識と技術を提供し続けている嘉村さんだが、これまで苦労や悩んだことがあったのかを聞いてみた。
「最初の頃は直感的に行動して自宅サロンを始めたので、経営のことをまったく知らなかったんです。そのため、専門の人に教えてもらいながらなんとかサロン経営をしていましたが、とても遠回りでしたね。
また、自分が提供する技術で本当にお客様を満足させられているのか、それが信じられずに悩み続ける日々が続きました。どんなに施術しても納得いかず、自分で自分を追い詰めていた時期はつらかったです。『もっと上をめざせるのではないか』などいろいろ考えていましたね。でもあるとき、同業の先輩にあたる人から『自分は完璧!と思うときはいつまでたってもこないし、それがお客さんが求めていることとは限らない。実践しながらその都度最善を尽くす方法を考えるように』と言われ、心が軽くなった気がします。やはり施術する私自身のメンタルが安定していないと、お客様を満足させられませんからね。そのときから、『失敗してはいけない』というガチガチの状態から解放されました」。
嘉村さんの話を伺っていると、施術する相手のことを思うからこその悩みだと感じる。「関わる人全員の体調が良くなってほしい」と思いながら施術するものの、「本当にこれでいいのだろうか」という葛藤は、相手と真剣に向き合っているがゆえの感情だろう。
モチベーションの源は、お客様からの「眠れるようになった」「体調が良くなった」という声

嘉村さんは、どういうところにやりがいを感じているのだろうか。
「まず体調不良で悩んでいる人が、私のサロンを見つけてくれるのがうれしいですね。私は表面的な施術だけではなく、体の内側から健康になるようなアドバイスを心掛けています。そのため、お客さまご自身の『自分を整える』という意識を日常生活に落とし込んでいただくことで、徐々に体質が変わることがあります。そして実際施術することで、お客さまの体調が変化して良くなっていくのを見たりご報告を受けたりすると、非常にやりがいがありますね。
私は、施術でお客様にリラックスしてもらうことを大事にしているため、ストレスフルな方たちが夜ぐっすり眠れるようになったとか、呼吸が深くなった気がするという感想をいただくと、とてもうれしいです。施術を受けて体が軽くなることはもちろん、メンタル面で前向きになってくれるお客様も多いため、そのような方がどんどん増えていってほしいですね。心と体のどちらか一方だけではなく、自己免疫力など本来の持っている力を発揮するために、やはり両方を整えていくことが大切です」。
日々慌ただしく過ごしている世の中の女性たちを、「女性専用サロン」という特別な場所で心と体の両方から癒せていることを実感できるとき。それが嘉村さんの一番の喜びにつながるのだそう。
すべての人に意識してほしい「自分を助ける最良の人は自分」

「サロン名にもあるように、”セルフケア”が自分と周りを大事することにつながる、とお客さまにお伝えしています。私は、映画『マダムインニューヨーク』の『自分を助ける最良の人は自分』という言葉がとても好きです。激しい気温変化や周りの人の機嫌、聞きたくない言葉などに日々振り回されるなか、まずは自分の心の声をしっかりキャッチすることが大切だと思っています。そして、周りに影響されすぎずにしっかり自分をケアしていく。それは、お風呂に浸かってちょっと足をさすったり、信号停車で耳たぶをマッサージしたり、本当に小さなことでいいんです。『自分自身をいたわる、気にかける』これが重要なので、ぜひ習慣化してほしいですね。私は自宅で、耳ストレッチを使ったセルフケア講座も行っています。そこでは日々できるセルフケア方法をお話していますが、土台となるのは『自分を助ける最良の人は自分』です。これからも、自分と向き合うことの大切さを私と関わる人すべてにお伝えしていきたいですね」。

何でも人任せにせず、「自分の体は自分でケアをする」という気持ちが大切だということを教えてもらった。その上で、施術を通してさらに体を整えるのが理想なのだろう。体は正直で、いたわればちゃんと改善してくれる。「心も体もつらい」と思っている人は、まず自分自身の心の声を聞き、何が必要なのかを感じ取るところから始めるといいだろう。
必要な人には技能も継承していく

嘉村さんのサロンでは、施術を受けるだけでなく技術を学ぶこともできるとのこと。実際にどんなことが学べるのかを聞いてみた。
「耳ストレッチセラピスト養成講座は、リンパとアロマとストレッチを融合させた技術をお伝えします。座学と実技に分かれていて、症例取りや最後に認定試験があります。あとは、ヘッドマッサージの技術もお伝えできます。さらに、単発の講座として、耳ストレッチや東洋医学のチェックシートを活用したセルフケア講座なども随時リクエスト開催しているんですよ。現在は月に1回、水巻の助産院でママさん向けに耳や東洋医学のシートを活用したセルフケア講座を行っています。今後は、腸活・ファスティングの講座も開講予定です。ですので、もし興味がある人はお問い合わせいただければと思います」。
志が高い人同士でつながり、さらに新しいことに挑戦していきたい

ここまでで、嘉村さんの「心と体の健康」に対する熱意が伝わってきた。
今後はどういう活動をしていきたいか、展望を聞いてみよう。
「最近は、志が高く勉強熱心な他業種のセラピストさんと関わる機会が増えたので、お互いの強みや思いを高めあうような形でそれぞれのサービスをお客さまに提供できたらいいですね。そうすることで、より良いエネルギー循環が可能になると思っています。また、数年後にはサロンを拡大することも考えています。さらに多くのお客様に利用していただくために、環境を整えて新たな出発ができるよう現在構想中です」。
忙しい女性たちと”ほっ”とする時間を共有

「健康情報があふれている今、自分にとって何が合うのかわからない人も多いかもしれません。でもまずは興味を持ったことを取り入れてみて、合えば続けて合わなければやめる、という気軽な感覚でいいと思います。とにかくご自身の心と体に興味を持つことが大切です。
『あ、私今イライラしてるな』と感じたら、それを俯瞰的に捉えてみてください。ちょっと深呼吸をしたり遠くを見つめたりするだけでも、心の変化があるかもしれません。日々、忙しさの中で呼吸の浅さなど自律神経の乱れを感じた時には、体を温めマッサージなどでリラックスする時間を持つことは有効だと思います。それが、私が考える「セルフケア」なんです。
ちなみに当サロンでは、黄土ゲルマニウムよもぎ蒸しと各種施術メニューがありますが、それぞれを単発で受けるより一緒に受けた方がお客さまのリラックス度が全然違います。たとえば、黄土よもぎ蒸しと極上ヘッドマッサージを一緒に受けてもらうなど。一旦体をリセットしたい人には、セットコースがおすすめです。
女性は出産や更年期など、自分自身の体調の変化に向き合わなければならないポイントがいくつかあります。そのときに、すぐ病院で薬をもらうのではなく、『自分でできるケアから整えていく』という意識を持つ方が増えるようなサポートができたらと思っています。私はこれからも、お客様一人ひとりのQOLが高まるようなお手伝いをしていきたいです」。
サロン経営を始めて4年目。嘉村さんの、心と体を元気にすることへの探求心はまだまだ進行中だ。
この記事の執筆者

ninatte事務所
ninatte九州の運営事務局です。銭湯跡地、旧梅乃湯を拠点に活動中♨事務局ライター数名で日々記事を更新しています。
店舗所在地:福岡県北九州市八幡西区萩原
営業時間:午前10時~、午後13時~(最終受付時間:16時30分)
HP:https://self-care-salon-carm.jimdofree.com/