「産まれてきてくれてありがとう」 宇美町を想う気持ちから誕生した、やぎミルクのアイス『産み愛す』

福岡県の北西部に位置する宇美町。

ここは神功皇后が応神天皇を御生みになった場所として、最古の歴史書『古事記』にも記載がある宇美八幡宮で有名な町だ。

宇美八幡宮は安産・子育てに御利益がある神社として、各地から多くの人が安産祈願やお参りに訪れる。

そんな『産み』にゆかりのあるこの土地で育ち、この土地を大事にする想いを強く持っているのが『KOYASU FARM』の小林孝昭さんだ。

小林さんは長年ガソリンスタンドの経営をしながら、町の青年団や商工会に所属し、町のために尽力してきた。

かつてこの町は炭鉱として栄えており、人口も商業施設も現在に比べてかなりの賑わいをみせていた。

そんな“活気のある町”を取り戻したいと、小林さんはこの町の想いを一つにまとめるために必要なビジョンについて考え抜く日々を送った。そしてたどり着いたのが、『宇美町≒子育て・親子の町』だ。

ここをキーに、町全体の想いを一つにまとめたいと小林さんの気持ちはより加速していった。

宇美町の新・名(めぇ)産品

そんな想いを持ち、小林さんが宇美町の名産品となるものについて考えていたある時、ふとしたきっかけで、やぎミルクの栄養価が人の母乳に近いという理由から、戦前戦後の貧しい時代にどうにか赤ちゃんに大きくなってほしいという願いを込めて飲まれて来たという話を知ったという。

「宇美町は子どもの誕生と成長を願う神様で有名な町。これだ!これこそが宇美町の象徴だ!やぎミルクを使って宇美町の新名産品を生み出せばPRになり、活気が戻ってくるのでは」と閃き、やぎミルクを使った名産品づくりに着手した。

「宇美八幡宮で“無事に生まれてきますように”と子安石を積み上げながら願ってきた想いも、昔の人がやぎミルクに助けてもらいながら“無事に育ちますように”と願った想いも、たぶん共通のものだなと。『宇美の歴史』を『やぎミルク』で伝えるということがすごくマッチしたんです。これなら町内の人にも共感してもらいつつ、外部の人にも宇美町のことを知ってもらい『いいね』と言ってもらえるかなと」

やぎミルクでつくる『産み愛す』

“やぎミルク”で名産品を、と決まったはよいが肝心のやぎミルクが入手できなかった。

と言うのも、やぎの飼育者が全国的にもかなり少なく、入手困難なものだったのだ。

「それなら自分でやぎを育てよう!そして宇美町産のやぎミルクで名産品をつくろう!」

そう決意し、全くの素人だったがやぎの飼育から始めた小林さん。

その後も様々な困難を乗り越えて、最初は2頭だったやぎが現在では30頭程になり(2023年現在)やぎミルクを手にすることができた。

そうやって苦労して手に入れた宇美町産・やぎミルクでつくったのが『産み愛す』だ。

『子育て・親子』の町・宇美町として

「これは私の夢なのですが、ゆくゆくは宇美町に山を買って、観光牧場をつくりたいなと」

『産み愛す』の周知を拡げることはもちろんだが、小林さんの一番の想いは“宇美町に活気を取り戻す”こと。

「やぎ達を見ていると、色も全員真っ白で同じなのに、お母さんやぎはちゃんと自分の子どもを認識しているんです。その様子を見ていたら確実に親子の繋がりを感じる。そこを見せるのが私が一番やりたいことです」

毎年春に産まれる子やぎ達を近隣の小中学校の子ども達に見てもらい、やぎ親子の関係性を見せる中で、親子関係のこと、そして宇美町にも想いを馳せてほしいと小林さんは思い描いている。

「子やぎを見に来た子どもたちに『あの子やぎを自分だと思って見てごらん。そして母やぎは親だよ。親のことを口うるさく感じることもあるかもしれないけど、親は心配して、あんまり離れすぎると危ないよという意味で“めぇ”って鳴いているんだよ。“めぇ”の内容は分からないかもしれないけど、その気持ちはわかるよね』と。そういった気持ちを汲めるようになると、それが人間関係の構築にも活かされてくる。そこが宇美町が一番伝えなきゃいけないことであり、そういったことが体感できる牧場をつくりたいなと思っています」

やぎミルクの特徴

やぎミルクは牛乳とは成分が全く異なる。

牛乳は多くが長鎖脂肪酸で構成されるが、やぎと人間の乳は中鎖脂肪酸から構成される。

構造が異なるため、体内での分解スピードも牛乳と比べ4倍程違い、人間の乳の成分に近い構造を持つやぎミルクは赤ちゃんの未熟な腸でも吸収ができる。

また、牛乳アレルギーの主な原因となるasカゼインがやぎミルクには非常に少ないため、牛乳にアレルギーを持つ方でもやぎミルクならアレルギーを引き起こしにくい。

その他、牛乳に比べてミネラルバランスにも優れているやぎミルクは多方面で注目されつつある。

牛乳を飲むとお腹が緩くなる心配がある方、小さいお子さまやお年寄りの栄養補給としても安心して口にすることが出来るやぎミルク。

まだ食べたことがない方には是非一度試していただきたい優しい味のアイス・ソフトクリームだ。

KOYASU FARMのやぎミルクアイス『産み愛す』は、宇美八幡宮境内『茶房うみはち』又はオンラインストアから購入可能。

また不定期ですが、キッチンカーでソフトクリーム等の移動販売も行っている。

所在地:福岡県糟屋郡宇美町平和1-15-25
ホームページ:https://goatmilk-koyasufarm.com/

この記事の執筆者

ninatte事務所

ninatte九州の運営事務局です。銭湯跡地、旧梅乃湯を拠点に活動中♨事務局ライター数名で日々記事を更新しています。

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KOYASU FARM産み愛す

ヤギミルクアイス・ソフトクリームを販売している。
「宇美」町の 特産品 ×「アイス」=「産み愛す(うみあいす)」。

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