【正社員求人】石の美しさを再定義する、石材の修復師。株式会社玄繕【第2章】

株式会社玄繕
建物の「美しさ」と「機能性」を守る専門技術会社

全国でも指で数えられるほどしかいない、石材を修復する職人。

その一人、株式会社玄繕(げんぜん)代表の尾上さんは、岡山からたった一人で福岡に移住。8年前に、事業をスタートさせた。

彼女の独立にいたるまでの過程『創りての歩み』は、第1章として公開中。

このページでは、『株式会社玄繕の歩み』を、第2章としてご紹介。
そして、数少ない石材の職人として、一緒にバトンを繋いでくれる未来の仲間に向けたメッセージを伺った。

ゼロからのスタート。絶望の中で見つけた街の温かさ

その地に全く縁もなく、地理感覚もない、知らない街、福岡。             
尾上さんは独立後、自身の歩みを、この福岡でスタートさせた。

手元にあるのは、東京での10数年の修行で培った自信と技術のみ。とりあえず福岡に住居を構えた尾上さんは、早速、仕事を得るため営業活動に動く。

「とはいえ、営業なんてしたこともないし、とりあえず株式法人をつくってはみたけど、経営なんて知識もほとんどなかったんですよ。本当に日々手探りの状態で」。

それでも仕事は取ってこないといけない。
尾上さんはまず、東京で接点のあった大手建築会社などの支店に挨拶に行ったのだそう。 向こうでの繋がりで、何かきっかけでも作れたら、という思いからだった。

ところが、思ったほど甘くはなかった。

「福岡の支店を訪ねても、誰にアポイントを取ればいいのかも分からないし、とりあえず用件を伝えて窓口の方に繋がてもらっても、表面的な挨拶だけで、全く仕事につながる気配もない」。

「いや、心が折れましたね。しばらくはそんな訪問を繰り返したんですけど、暖簾に腕押し。感触なんて得られなくて、絶望感をいだきました」。

でも、そこで簡単に折れ曲がらないのが、尾上さんの強さ。
知らない街で、仕事以外の交流を深めてみることにした。

「福岡、楽しいですよね。気さくな方も多いし、すぐに打ち解けられるんですよ」。

目の前の大きな壁の前で、一旦一息入れて、まずはこの街の雰囲気を楽しむ。仕事以外の人との繋がりを楽しむ。

楽観的に見えるかもしれない。
でも心の奥には、計画性に欠けた自身の新たな選択への自暴自棄の気持ちも強かったはずだ。しかしそれを苦労とは捉えずに、今できることから少しずつ前に進む。
そうして、地道に福岡の市場の門を叩き続ける。

そのめげない姿勢から、少しずつ固い扉を開き、迎え入れてくれるところが出てきた。
その扉から、また新たな扉を紹介してもらい、少しずつ、本当に少しずつ歩みを続けた。

やがて、その希少な技術が徐々に認められてきたころ、尾上さんの歩みを一気に加速させる街の動きが巻き起こる。

天神ビッグバン。技が求められる時代の到来

追い風が吹いた。「天神ビッグバン」だ。
この福岡の大型建築改革の波に、彼女は上手く乗ることができた。

天神に新たな高層ビルが立ち並び、ホテル建築もラッシュを迎える。
そして、市場は福岡だけに留まらず、九州各地に広がっていった。       
            
尾上さんは自分の技術に慢心することはない。自信はあっても、今もきっと満足はしていない。話を聞きながら、そんなことを想像した。

「職人って、一人前の知識とか技術があっても、仕事が取れなきゃ稼げない。そんな当たり前のことを、独立して初めて痛感しましたね」。

職人の方々が独り立ちをする上で、この「仕事を得ること」の大変さ、難しさを感じる人がきっと多いことだろう。でも、尾上さんと話していると、そんな苦労の時期も感じさせない。

どんな話題でも笑顔で語る。
人と人の些細な交流を大切にしながら、楽しむことを忘れない人だ。

「美しさの再定義」。古い素材が持つ、豊かさを守る

尾上さんには、現代の日本の建築物に対して、強く考えていることがある。 
それは、「美しさの再定義」の必要性だ。

大都市圏になれば、建物にお金をかけて直す人も少ない。直すよりも壊して、綺麗で新しい建物を施せばいいのだ。

「新しい素材や技術を取り込んでいくことは、とても大事なことだと思います。自分自身も新しい素材に触れることがうれしいし、特に海外の高価な石やタイルを見ると、わくわくしますよ」。

「でも、古い素材ほど、しっかりとした物も多いんですよ。例えば、バブル時期に使われていた石材は、その奥行きだけで何十センチも厚みがある。現在のものは、その半分以下の厚みだし、やっぱり強度も全然違ってきます」。

「確かに建築費用も高騰する中で、削られる部分があることは分かっているけど、製品の性能まで削ってはいけない、って思うんです」。

見た目だけを重視して、コストばかりを優先していくと、おのずと中身は簡素になる。削られていく。

その結果、建物は軽く、薄く、浅くなる。

「長く石に向き合っていると、それではいけないって、強く感じることが多くなりましたね。だからこそ、『古き良き』を生かして、長く続く価値にしていくべきだって思います」。

新しさと古きものが共存する世界。尾上さんの語る「美しさの再定義」は、決して建築の世界だけのことではない。
コストや利便性・施工のしやすさや扱いやすさ、取り外しやすさや取り替えやすさ、それらの追及は、おのずと製品の本来持つべく性能までも削っていき、見た目だけが保たれる。

「でも、人の目って、ものの厚みをしっかりと感じるらしいんですよ。だから、簡素化していけば、どこか深みに欠けることを無意識に捉えるんだと思います。古きよきものって、今の時代に見ても、しっかりとした重厚感を感じますよね」。

石の分野においても、素材を薄くする技術は進化し、見栄えだけを維持して建物に取り入れられる。その結果、強度や安全性は低下していく。これは、あらゆる分野のあらゆる製品に同じことが起きているはずだ。
          
尾上さんの言う「美しさの再定義」とは、安価なものを量産することを改めて見つめなおす、私たちの暮らしそのものへの問いかけでもある。

若手への期待。「まずやってみて、体感してほしい」

これからの若手職人に求めることや伝えたい事は?という問いに対して、返ってきたのは意外な言葉。

「いやいや、私たちが若手に教えて欲しいことばかりですよ。情報や知識の量、それに若い世代だからこその感性を含めて、ぜひ参考にしたいし、仕事やいろいろな面で、若い世代の良さを取り入れたいんです」。

逆に教えて欲しい。そして取り入れたい。仕事における素材や技術だけではなく、人材育成の場においても、その大切さと必要性を強く感じているのだそう。

「もちろん、私たちが経験してきたこと、受け継いできた技術はしっかり伝えていきます。でも、私たちの時代以上に、はるかに多い情報の中で成長して、その収集方法も沢山知っている。だから、若手に学ぶことの方が多いって本当に思うんですよね」。

今の時代に合った、今の時代の若手との接し方、教え方。そして、吸収していこうとする柔軟な姿勢。

尾上さんは、社長として、先輩としても、謙虚さを忘れず、純粋に、新たな良いものを取り入れようと考えている。

「でも、若手にあえて伝えるなら、『まずやってみないと、わからないよ』っていうこと」。

情報があふれる現代の中で、あらゆる技術(手技・手法)だって、動画を観て学べる。しかし、そこで簡単に身に付くほど本当の手仕事は単純ではない。

動画を流している人たちだって、決してプロの職人ばかりではないのだそう。目で見る・聞いてみる、だけでは、分からないこともたくさんある。

「だから、まず、やってみて、実際に触れてみて、体感して欲しいです」。

そして、仕事だけに限らずに、人と人の直接交流する機会を大切にして欲しいと語る。

何も頼りもない福岡で、ひとり扉を叩き続けて、一歩一歩市場を拡げてきた尾上さんが、最も大切にし、今も全ての原点と感じていること。
笑顔でいること。そして、明るく人と交わること。

玄繕が求める仲間。女性も若手も大歓迎

株式会社玄繕は、福岡から新たな市場を切り拓いてきた。
そして、ここからさらに新たな市場を拡げ、ともに歩む仲間を求めている。

もちろん、女性も大歓迎だ。
女性の感性や若手の感性にも期待をし、新たな石材の文化を拓いていきたい。そして、若い世代が求める働き方にも、柔軟に応えていきたいと考えている。

「自分自身が歩んできた道を勧めたりもしないし、真似て欲しいとも思いません。でも、独立したいと考える熱意には、しっかりと応えていきたいです」。

自身が選択しなかった「次の世代と共存すること」も受け入れていきたいし、そのひとり立ちの歩みをサポートしたいとも考えている。

ちなみに、この石の修復技術。尾上さんが認識する限り、九州内に職人と呼べる人は、2~3人しかいないという。チャンスは無限大だ。

「でも、独立すれば、全ては自分のせい。失敗も成功も、全て自分の責任です」。

そう言いながらも、その表情はどこまでも明るい。
42歳の尾上さんは、今年で創業8年目。

笑顔でいること。人と交わること。
まだまだ若い社長とともに、希少な石材修復職人の一人として、新たな一歩を踏み出してみてはどうだろう。



【株式会社玄繕】
HP:https://genzen.co.jp/

紡ぎての添え書き(編集後記)

「建物の価値って、『新しい』ことだけではないと思うんです」と話す尾上さんからは、石材だけでなく、石材を通した人々の暮らしの積み重ねを大切にしたい、という想いが伝わってきました。

SNSでも、石材の技術に関する投稿ばかりを見てしまうという尾上さん。新しいものからも技術を見直し続ける株式会社玄繕は、今後もっと多様な『修復』を見せてくれるのではないでしょうか。
面白そう。気になる!と少しでも感じた方は、ぜひ尾上さんの話を直接聞いてみてください。 

募集要項

募集職種技術スタッフ
雇用形態正社員
給与月給250,000円~400,000円
待遇昇給 1回 / 賞与 1回
勤務時間08:00~17:00
休日年間休日 105日
勤務地〒810-0022 福岡県 福岡市中央区 薬院3-16-34-4
仕事内容タイル・石材の修繕・クリーニング業務

・建物外壁や床のタイル、石材、花崗岩の修繕・修復作業
・素材ごとのクリーニング・メンテナンス
・現場での施工サポートおよび仕上げ作業
※専門的な知識や技術は入社後に習得可能です!
応募資格・求める人材【応募資格】
・普通自動車免許(AT限定可)

【歓迎スキル】
・建築現場・清掃関連の経験者
・タイルや石材の取り扱い経験者
株式会社玄繕

株式会社玄繕は、建物の「美しさ」と「機能性」を守る専門技術会社。主にタイル・石材・花崗岩などの外装・内装の修繕、修復、クリーニングを手がけている。

代表の尾上千秋さんは、石材・モニュメント施工技術士。文化財保存学会会員。石の会所属。