空の概念、その実体はどこにあるのか。アナログアーティストkuw_(クー)

”一度見るとなかなか目が離せない1枚の絵。その表情は、見る人によって変化します。
微笑みか、寂しげか、あるいは決意を表しているのか。
不思議なニュアンスからとれる表情を、ぜひ想像してみてください。
今回は「本当の自分自身と向き合ってもらう」というコンセプトで描くアナログアーティストのkuw_(クー)さんにお話を伺いました。
──「クー」というアーティストとして、名前を名乗るまではどのような仕事をされていたのでしょうか?
実は今も普通に会社員をしています。兼業みたいなものですね。2023年の5月頃から絵を描き始めて、毎日1枚、睡眠時間を削って絵を描いて自分と向き合ってるんですよ。日々追求して、努力したらなんとかなるかなっていう感じです(笑)絵など学んでこなかったので、最初は意のままに抽象画を描いていたんです。描いていくと’’顔’’がいっぱい見えてきて。表現したいことも顔で伝えられないかなと思って今の形が出来上がりました。
──アーティストとしてのこだわりや根底にある思いはありますか?
1番はやっぱり、アナログで書くことです。デジタルに見えると思うんですけど、実はアナログで描いていて。やっぱり、目には見えてないけど絶対に存在しているものってあるじゃないですか。分かりやすく言えば気を込めるというか。特にイラストレーターなどはデジタルが主流なので、あえてアナログにこだわってます。
あとは、ノイズを極力入れないようにしています。削れるところは削って、余白も多く取り入れてます。見る人が想像を巡らせる余白を残すイメージです。そして、絶対に入れているものとして、イヤリングを必ず着けるようにしています。

”圧倒的没入。存在している場所は現実か精神か。今何処にいるかの目印として。
──なぜ、どの絵にも同じイヤリングが描かれているんですか?
これはいわば目印の様なものです。自分は絵を描く際、深い精神世界に入るので、今現実的に絵を描いている状態なのか、もしくは内面世界に居るのか、意識が混在します。その時にイヤリングを見て、自分の立ち位置を振り返るんです。目印のようなものです。
──目印関連で、自身のアーティスト名も自分の立ち位置を振り返る目印になると思います。改めて、クーという名前の由来を教えていただけますでしょうか?
これは、仏教における空からきています。色即是空の空です。本当の自分ってなんだろうなって考えた時に、有るように見えて無いもの、無いように見えて有るものって考えがすごくしっくりきて。それでこの名前をつけました。
ただ、自分自身の本名もある中で、この現実世界で二つの名前で生きていると違和感も実はあって。どっちが本当の自分なんだろうと。

”現実世界と内面世界。そこにある違和感。自分自身が確立されている根拠は何処にあるのだろうか。
──アナログアーティストとして、見る人に伝えたいことをお聞かせ願えますでしょうか。
まずはアート全般を楽しんでもらい、自分自身もアーティストだということを気づいて頂きたいです。日常がとても豊かになると思ってます。ちなみにこの絵、女性じゃないんですよ笑性別はないんです。髪が長いからとか、イヤリングがあるから女性っていう固定概念を一度取り払って欲しくて。こういった考えで、本当の自分自身と向き合って見るということをしてみてほしいです。
また、こうやってアーティストの思いも知るともっといろんな楽しみ方もできます。自分は本名も顔も性別も表にはあんまり出さないようにしています。この絵を描いた人はどんな人なんだろうって想像してみることも、アートの楽しみ方の一つです。

”「RESOLVE」決意するという意味。このように各アートに意味が込められている。
自分自身とどう向き合うか、そのきっかけを絵を通して伝えるクーさん。見る人の状態によって、昨日とは違う見え方もする不思議な表情をみせる作品は、目が離せなくなります。クーさんは定期的に個展や出展もされているので、ぜひインスタグラムをチェックしてみてください。ポートフォリオも公開しているので、いろんな’’顔’’を見ることができますよ。
この記事の執筆者

ninatte事務所
ninatte九州の運営事務局です。銭湯跡地、旧梅乃湯を拠点に活動中♨事務局ライター数名で日々記事を更新しています。